2021スーパーGT 第5戦@SUGO

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2021年 SUPER GT第5戦SUGO 予選レポート

 

■予選15位。次のステップに進む中で新たな問題点に遭遇。

 

2021年のシーズン後半戦へと突入したSUPER GT。第5戦は宮城・スポーツランドSUGOが舞台となる。昨シーズンは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から開催地を制限したこともあり、SUGOでのSUPER GTは2年ぶり。まだサーキットでの観戦者が限定されているとはいえ、早朝から多くのファンが現地に足を運んだ。そんな中、KONDO RACINGは前回の鈴鹿大会に続き、快進撃を見せようと意気込んだが、持ち込みタイヤとコースコンディションの合わせ込みに腐心し、まさかの予選15番手に終わっている。

 

予選を迎えたサーキット上空は、すっかり秋模様。搬入日にあたる前日は強い日差しが照りつけて汗ばむ天候だったが、この日は朝から終始薄曇りで、また気温は21〜24度で推移するに留まった。午前9時20分から始まった公式練習。SUGO戦に向け、新たな”攻めのタイヤ”を持ち込んだチームでは、そのパフォーマンスを確認すべくまず佐々木大樹選手がコースへと向かった。しかしながら、日差しに恵まれないコース上は、気温、路面温度とも変化に乏しい状態となり、せっかくのポテンシャルを引き出すことができない状態になってしまう。さらには、開始40分を過ぎたあたりでピットインすると、しばらくの間ピットガレージでの作業に時間を費やすこととなった。その後、コースに復帰してセッティングを確認した佐々木選手から高星明誠選手へとスイッチ。ところが、高星選手もトラブル発生により、走り始めてすぐさまピットイン。結局、GT300クラスとの混走時間帯に周回を重ねることができず、GT500クラス専有走行に入った僅かな時間での作業確認を強いられた。結果的に、朝のセッションで予定していたメニューを消化できずに終わったことで、チームは予選に向けて大幅な変更を迫られることになってしまった。

 

午後3時3分、GT300クラスのQ1を経てGT500クラスのQ1がスタート。引き続き薄曇りの中で気温も大きく変化することなく、24度。路面温度も27度どまりとなる。No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rに乗り込んだのは、高星選手。朝の公式練習でもセッティング確認を存分に行えず、また持ち込みタイヤからは限られたものを選択せざるを得なくなった状況ということもあり、厳しいアタックとなる。ミスなく果敢に挑んだ高星選手ではあったが、刻んだタイムは1分11秒140。上位陣のタイムからは差が開く結果となり、15番手の結果に甘んじた。

 

翌日の決勝は、天候が好転すると言われており、状況次第では暑さを感じる一戦になるやもしれない。多くの不確定要素がある中での戦いだけに、都度適格な判断を行って少ないチャンスをできる限りモノにしたいところだ。

 

 

<近藤真彦監督のコメント>

 

キツい結果に終わりましたが、実は今回のレースに向けて「チャレンジするタイヤ」を持ち込んでいたんです。事前のタイヤミーティングで、ヨコハマタイヤさんとうちのチームスタッフから「SUGOでチャレンジしますか?」という提案を受けたからなのですが、そのときに僕は「当然だ」と即答していたんです。前回第3戦鈴鹿で表彰台に乗って結果を残した以上、このまま進んでいきたいという思いがありました。結果、そのタイヤを持ち込んだわけですが、今回の路面と合わなかったのか、あるいはチャレンジしすぎたのか、それは今の時点で正解はわかりません。データなどを持って帰り、分析してからの話になります。結局、予選ではそのタイヤを装着できなかったので、安全圏のタイヤで挑みましたが、今日のコースコンディションには合わなかったですね。気温も低かったですしね。明日の決勝は、今日よりも5〜10度ほど路面温度が上昇してくれたら、また違った展開を見せることができるのではないでしょうか。SUGOは抜きづらいとはいえ、足元が決まれば1コーナー先での勝負も可能だと思います。厳しいポジションからの戦いですが、前方車両に離されずに周回を重ねていけばどこかでチャンスが来るかもしれないと信じています。今日に限らず、最終戦に向けては守ることなく、どんどんチャレンジして進化を続けていきたいと思います。

 

<高星明誠選手のコメント>

 

朝の公式練習中にトラブルが出てしまい、最初の計測2、3周でピットに戻ってしまいました。そのあとはGT500の専有走行でしか走れなかったのですが、そこで「チャレンジしたタイヤ」があまり機能しなかったことも予想外でした。結果、仕方なしに今回僕たちが持ち込んだタイヤの中でも硬い方を使ってアタックしました。もう少しタイムが出ると思ったのですが、コンディションに合わずタイムを出すことができませんでした。僕自身のアタックとしては、そんな大きなミスもしていないし、10番手くらいかなと思っている中での15番手だったので、その部分は心残りですね。ただ、この「チャレンジしたタイヤ」については、今日の路気温にこのタイヤそのものが合っていなかった可能性もあります。気温が上がると言われている明日、試すチャンスがあるので、その結果を踏まえて判断できればいいと思っています。憶測だけで判断するのではなく、明日走ることでその確認ができればいいなと思います。

 

 

<佐々木大樹選手のコメント>

 

今回、「チャレンジしたタイヤ」も持ってきたのですが、そもそもまずSUGOでのレースは去年なかったので、自分たちが思っていた路面とは違っていたこと、そして(同じヨコハマタイヤユーザーである)19号車を見ていてもそうでしたが、今日の気温や路面温度、また新しいクルマになってからの初めてのSUGOだったので、予想よりもうまく合わせ込むことができませんでした。ただ明日の決勝で気温が変われば、また話が違ってくるのでまだ全然レースに関しては諦めていません。

 

 

<村田エンジニアのコメント>

 

今朝の公式練習中に駆動系のトラブルに見舞われ、結果的に40分あまりの時間をかけてピットでの作業をすることになりました。加えて、今回の持ち込みタイヤの中の「チャレンジしたタイヤ」がうまく行かず……。今日は様々な条件が良くない方で重なることになってしまったようです。一方、明日はコンディションが今日よりも良くなるということなので、そうなれば有利に働いてくれたらいいですね。まだいくつか改善したいこともありますし、その辺を意識してトライすることでひとつでも上を目指していけたらいいなと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

2021年 SUPER GT第5戦SUGO 決勝レポート

 

■攻めの走りを続け、6位フィニッシュ!

 

 

 

 

9月12日に迎えたSUPER GT第5戦SUGO大会の決勝。前日の予選で厳しい結果に甘んじたKONDO RACINGだが、決勝レースでは状況が一転。粘り強くバトルを繰り広げ、粘りある走りを続けることで着実にポジションアップを果たし、6位でチェッカーを受けている。

 

決勝日のSUGOは、早朝からすっきりとした秋晴れの好天気に恵まれた。前日は最高気温も24度に留まったが、この日は決勝直前に29度を超える夏日となり、路面温度も最高46度まで上昇する。予選では、コースコンディションとタイヤのパフォーマンスが想定以上に合わず、またセットアップの時間も限られたこともあり、Q2進出の機会を喪失。まさかの15番手グリッドに留まったNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rだが、決勝ではスピードを活かした走りを見せ、粘り強く周回を重ねていくこととなった。

 

午後1時30分にスタートした84周の戦い。2周のフォーメーションラップを終えてもまだ隊列が整わず、さらに1周のフォーメーションラップが追加される。結果、レースは83周での戦いへと変わった。

 

最初のスティントを担当したのは、佐々木大樹選手。序盤は混戦が続き、加えてタイヤのピックアップも出て、我慢の走行が続いてしまう。しかし、佐々木選手はクルマの状況をしっかり把握しながら前のクルマに喰らいつく形で周回を重ねていった。一方、ライバルたちは27周を境にルーティンのドライバー交代を実施。逆にNo.24はトラフィックを回避する形でコースに留まり、この間ペースアップに努めた。

 

 

迎えた36周目。GT500車両の中で一番遅いタイミングでピットイン、ルーティンのドライバー交代などを済ませると、高星明誠選手へステアリングが託された。タイヤに熱が入り、徐々にレースペースへ戻る中、レースは40周を過ぎると様々なハプニングが出始める。まず、46周目の最終コーナー立ち上がりからメインストレートに向かう途中で1台の車両が黒煙を上げて停止。火災も発生しており、消火作業を要したため、セーフティカーがコースイン。結果、53周終了時までレースがコントロールされる。この時点でNo.24     は11番手だったが、リスタート後の58周目、まず1コーナーで16号車のNSX-GTを逆転して9位へ浮上。また、63周目にはメインストレート先で1台の車両がトラブルによりコースサイドに停車。これを受けて、今度はFCYが導入された。

 

 

 

幸い2分ほどでFCYは解除され、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rも8位から終盤の戦いに向け、力を振り絞る。そんな中、高星選手は74周に64号車NSX-GTとのサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げ、1コーナーアウト側から逆転に成功して7位へ。さらにその直後、複数の他車が激しいバトルの末に接触、うち1台がコースオフするなどコース上は丁々発止のサバイバル戦となった。そして迎えた75周、ついに6位へと浮上した。最後の最後まで緊迫のバトルを凌ぎ、粘り強く戦い抜いた結果として、6位入賞を手にすることとなった。起死回生とも言える健闘を見せたKONDO RACING。次回の舞台となる大分・オートポリスもSUGO同様に2年ぶりの開催となるため、引き続き”新たなるチャレンジ”となるが、与えられた条件の中でベストを尽くしていきたい。

 

 

 

 

<近藤監督のコメント>

 

前日の予選では難しいタイヤ選択を迫られましたが、決勝は実績のあるタイヤで挑んだことで、いいレースができました。パッケージとしてもいい形でまとまってきているように見受けられるし、また今回は同じGT-Rの12号車が優勝したので、そろそろウチも表彰台の真ん中に立ちたい!という気持ちになりました。今シーズンは序盤に苦労が続きましたが、その中でもヨコハマさんがタイヤ開発を続け、いいものを作ってきてくださっていることはもちろんなのですが、鈴鹿での3位という結果によって、ドライバーはじめエンジニア、メカニックみんなのモチベーションも上がっています。その中で今日も6位だったので、次のオートポリスが本当に楽しみです。今のチームは、自信を持ちながら戦うという形になってきていることがわかります。昨日の予選に比べても、今日は上出来の展開でした。いいレースができたと思います。

 

 

 

 

 

<高星明誠選手のコメント>

 

レース中、自分たちのペースは悪くないということは、前のクルマに付いて走っているときからわかっていました。しかも最終コーナーではつねに僕のほうが前のクルマよりも速かったという印象があったので、そんな中でGT300車両との兼ね合いだったり、うまくタイミングを合わせることができれば、メインストレートで(前方の車両に)並ぶことができると思っていました。そういうことが何回かうまくいったので、良かったと思います。一方で、SUGOに持ち込んだタイヤのうち、どれが良くてどれが悪かったということに関しては、個体によって結果が出ているためその原因や理由がまだはっきりとわかりませんが、そこはヨコハマさんとミーティングしながら確認していきたいと思っています。レースではポイントを獲得するということが大きな意味を持つし、そういうレースをつねにやり続けていかないといけないと思うので、今回それができて良かったです。

 

 

 

 

<佐々木大樹選手のコメント>

 

レース序盤、最初のひとかたまりのときは、かなり混戦した状態でした。全然ダンフォースも得ることができず、さらにはタイヤのピックアップもひどくなってしまったので、チームには申し訳なかったです。ただ、二回目の塊の中で走行していたときは、GT300の車両がバラけていた状態だったので、思ったよりペースが良く、最後は前との差を縮めることもできました。確かにトップグループとは離れてしまいましたが、前方のグループに対しては差が縮まったことを考えると、グリップ不足ではあったもののピックアップさえなければ、悪くなかったと思います。高星選手に交代した後半スティントでは、セーフティーカーがコースインしたおかげで(前方とのギャップが)リセットされ、さらに2台抜いてくれましたので、結果として最終的に6位で終わることができました。(他車に)いろいろ(トラブル等が)あったにせよ、ちゃんと完走して獲れたポイントですからね。今回持ち込んだタイヤに関しては、予選でタイムが出なかったとか、レース中も決してグリップが高かったとは思っていないですが、そこを改良すれば次のオートポリスでも戦えると思っています。(APの)テストに出向いた際は天候不良でほとんど乗れなかったとはいえ、またサクセスウェイトが今シーズン一番重い状態での一戦になるので、(サクセスウェイトが)まだ軽いほうになる僕たちには、またチャンスがある。しっかりとがんばって戦いたいですね。

 

 

<村田エンジニアのコメント>

 

決勝ではいい選択ができたというほどではなく、あくまでもごく普通の戦いができたと受け止めています。ただ、決勝のペースは良かったのでしっかりと戦えたし、レースができるタイヤを選ぶことができたのではないかと思います。次のオートポリスは事前のテストはあったものの、天候不良でほとんど走ることができませんでした。2年ぶりの一戦になるので、タイヤ選択をはじめとする準備においても正直迷うところはあります。まだまだクルマとしては発展途中なので、ヨコハマさんと相談しつつ、しっかりといいタイヤ選択をしていきたいと思います。