2021スーパーGT 第2戦@富士

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2021年 SUPER GT第2戦 予選レポート

■一歩一歩、確実に。進化を目指す

 

SUPER GTシリーズ第2戦の舞台は静岡・富士スピードウェイ。レース距離も2年ぶりの500kmレースと長丁場での一戦となる。ゴールデンウィークのレース開催となったこともあり、多くのファンが観戦に訪れる中、KONDO RACINGは予選のタイムアタックQ1に挑んだが、14番手のタイムに甘んじることとなった。今シーズン、ドライバーの新コンビ結成に加え、チームエンジニアを迎え入れたKONDO RACING。速さと強さが備わったNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rを目指し、チームが一丸となって岡山での開幕戦へと挑んだ。実戦を経て手にしたデータ、そしてさまざまな改善ポイントを踏まえ、短いインターバルながら第2戦富士への戦いに臨んでいる。

 

予選日は、気温16度、路面温度22度というコンディションの中、午前9時5分から公式練習が行われたが、まず最初に高星明誠選手がステアリングを握り、セッティングの確認さらには決勝を見据えてのタイヤ選択の作業等、次々とメニューをこなしていった。

 

走行1時間を過ぎた頃、高星選手から交代した佐々木大樹選手がコースイン。確認作業を経て周回を重ねていたが、10時22分過ぎ、GT300クラスとの混走時間も終盤を迎えた頃、No.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rに左フロントタイヤのトラブルが発生する。クルマをかばうようにスローペースでコースを走っていた佐々木選手だが、メインストレートを過ぎてピット出口先のエスケープゾーンにクルマを止めてしまった。また、このタイミングでコースには今シーズンから新たに導入されたFCY(フルコースイエロー)が提示されている。車両はFROによって回収、ピットへと戻ることができたが、残された時間も限られてしまい、残念ながらGT500専有走行で周回を重ねる機会を失うことに。結果、予選に向けての最終確認に不安材料を残した形でセッションを終えている。

 

 

予選を前に、一旦薄曇りとなった富士スピードウェイ。幸い、ノックアウト予選Q1が始まると再び日差しに恵まれ、午前中よりも路面温度が上昇した。気温17度、路面温度28度の中、Q1のアタッカーを努めたのは、佐々木選手。タイミングを見計らい、アタックラップへと向かった佐々木選手は計測4周目で自己ベストタイムとなる1分28秒138をマーク。だがしかし、Q2進出には至らず14番手でアタックを終えた。決勝は2年ぶりとなる500kmの戦い。粘りある走り、ミスのないピット作業を行うことで、ポジションアップを狙いたいところだ。

 

 

 

<高星 明誠選手のコメント>

岡山戦を終えて、自分たちのクルマに足りない部分に関してタイヤメーカーにリクエストをして、新しいコンパウンドのタイヤを投入することになりました。事前にテストをしていない分だったのですが、走ってみたら、狙いどおりの方向性でした。ただ、まだパフォーマンスとしての絶対値がライバルに比べて足りない部分があったので、その点は次のレースに向けてアジャストしていけたら、と思います。

クルマについても、岡山のレースや富士の公式テストで課題として見つかった部分を改善してもらいたいことをチームに伝えていたのですが、それも今いい方向に向かっています。岡山戦と比べても確実に進歩していると思います。ただ、予選結果を見る限りは他車と比較してもまだ足りない部分があることを痛感しました。レースに強くありたいと思って取り組んでいる部分が、明日の決勝でうまく形になればいいなと思います。

 

 

<佐々木大樹選手のコメント>

クルマのバランスはだいぶ良くなっていました。ただ、あともうちょっと、という部分もありました。一方でタイヤとしての進化も感じ取れたので、予選ポジションこそ14位ではありますが、トップとのタイム差も縮まっていましたし、そういう意味ではだいぶライバルとの差も縮まっているのではないかと思いました。それに加え、レースに向けてはまだ速さが足りない部分こそありますが、決勝に向けて強いものをチョイスしているので、これでレースを戦ってまたいいパフォーマンスを見せられたらと思います。

 

 

 

<村田エンジニアのコメント>

公式練習では走行中にタイヤトラブルが発生し、車両の回収も遅くなったことから、GT500クラスの専有走行開始までに作業ができなかったのが残念です。もともと午後からのノックアウト予選Q1を佐々木選手が担当することにはなっていたのですが、朝のセッションでの周回が限られることになってしまいました。予選を終えて、結果としてはまだ厳しいポジションにはいますが、開幕戦以降取り組んでいることに対しては、見えている部分もあるし、やるべきことも明確になってきています。クルマとしてそれなりのステップアップもできているという手応えもあります。今回のような500kmの長いレースでしっかりとデータ取りをし、今後の戦いに活かしていくよう努めていきたいです。

 

 

 

 

2021年 SUPER GT第2戦 決勝レポート

■今後の戦いに向け、データ収集に務めた一戦に

 

5月4日、今シーズン2戦目の戦いを迎えた富士スピードウェイは朝から青空が広がる好天に恵まれた。一方、決勝のレース距離はシーズン最長の500km。ミスなく粘り強く戦うことを念頭に、チーム一丸となってタフな戦いへと挑んだNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rは、12位でチェッカーを受けた。

ゴールデンウィーク中のレースイベントは、予選、決勝日とも安定した天気となり、絶好のレース日和となった。開幕戦を経て改善点を明確にし、進化のアプローチを追求するKONDO RACINGでは、今回の長丁場の戦いで多くのデータを収集して、今後の戦いへのフィードバックに活かしていきたいところだ。中でも、クルマとタイヤとのコンビネーションは昨今のシビアなバトルを制するためには欠かせないポイントでもあるため、今回は実戦を通して様々な検証を行う機会にもなったといえる。

午後2時30分、2周のフォーメーションラップを経て500km・110周の決戦がスタート。まず、高星明誠選手がスタートドライバーを務める。気温21度、路面温度35度と前日よりも気温は4〜5度、また路面温度は10度前後上昇したため、コンディションに対応した走りを心がけながら、高星選手が周回を重ねていった。レース序盤は周りの車両との混戦はもとより、開始わずか3周目にしてセーフティカーがコースインするなど波乱の展開となり、思うようなペースアップが難しい状況。また、戦略的にも30周を過ぎてからのピットインが理想ではあったが、チームでは30周終わりにピットインを敢行。コース上の状況に変化を与えることでレース中盤での善戦を目指した。

第2スティントを担当したのは、佐々木大樹選手。スタート時とは異なるタイヤを選択し、コースへと向かう。一方、レースはピットアウトした周にFCY(フルコースイエロー)導入が宣言され、コース上での走行速度が上限80km/hに規制されることに。結果、フレッシュタイヤでスピードアップを狙っていたNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rにとっては、水を差される事態になったといえる。FCYはほぼ2周後に解除、この後はライバル勢のピットインが続いたためにポジションが大きく変動したが12番手で周回を重ねた。2度目のピットインは71周終了時。チームでは改めて異なるタイヤを投入。再び高星選手がステアリングを握り、コースインする。終盤になると、周回遅れのGT300も数多く混在。混乱が続くコース上で走行ラインを確保することも厳しい中、高星選手は高い集中力で走行を続け、レースは終盤を迎えた。レース序盤から苦しめられたタイヤのピックアップに終始悩まされる中、思うようなパフォーマンスを披露できず悔しさあふれる戦いとなったが、二人のドライバー、そしてチームスタッフはミスなくチーム力を活かし切って500kmを走破。12位で苦しい戦いを終えている。

続く第3戦鈴鹿大会まではインターバルも短いため、早急に対策が求められるが、今大会で得たデータを元に、新たなアプローチで挑みたいところだ。

 

 

 

<高星 明誠選手のコメント>

第1スティントで装着していたタイヤは、より丁寧なマネージメントが必要だったのですが、一方で走行中のピックアップにも悩まされ、なにがどう影響しているのか状況判断が難しい状況でした。第3スティントではまた異なるタイヤで走行しました。最初のタイヤよりはまだいい状況で走ることができたのですが、一方で周回遅れのポジションになっていたため、ときに走行ラインを譲らなければならず、そのときにどうしてもピックアップがついてしまうので、それが辛かったですね。結果的にGT300クラスの車両を抜くときにも影響が出ました。また、タイヤに加え、クルマの根本的な速さもさらに追求していかなければならないと感じています。鈴鹿に向けてはセットを煮詰める作業に意識して取り組みたいと思います。

 

 

 

<佐々木大樹選手のコメント>

今回、長丁場の戦いになる一方で、戦いを前に想定外のことが発生し、自分のスティントではレースウィークで初めて走行するタイヤを使うことになってしまいました。結果、テストでやってきたものとも全然違うものとなり、当初のスケジュールどおりに物事を進めることができなかったのは残念です。鈴鹿戦に向けてチームと一緒にいろんなことを見直し、さらに準備を進めていけたらと思います。

 

 

 

<村田エンジニアのコメント>

今回、タイヤに関しては終始ピックアップの問題に悩まされました。タイヤをうまく使うべく、また、500kmを走り切るということを前提にレースに取り組んだのですが、まず、第1スティントの結果を受けて第2スティントのタイヤを選択し、さらに第3スティントでのタイヤ選択へと繋げていきました。最終的に第3スティントではクリアな状態で走ったときのペースは、現状において決して悪いものではなかったと思います。ただ、レースウィーク中に明らかとなった問題点を解決することは難しく、それが最後までレース展開に大きく影響を及ぼすことになりました。ドライバーとしては、攻めの走りをしたくともそれができない状態だったということですね。鈴鹿戦まであまり時間はありませんが、今回のレースでの問題点を少しでも解決できたらと思います。